目次
結論から言うと
この本は、人生にちょっと疲れちゃったとき、思いがけない旅や人との出会いが、新しい一歩を踏み出すきっかけをくれることを教えてくれます。読んだ後は、きっと心が軽くなって、どこかへ旅に出たくなるはずです。
1 この本を読むと得られること
- 旅に出たくなるワクワク感 北海道の果てしない道、伊豆の美しい温泉宿、冬の釧路湿原…。登場人物たちと一緒に、まるで自分が旅しているかのような気分を味わえます。読み終わる頃には、次の休みの計画を立て始めているかもしれません。
- 心がスーッと軽くなる解放感 仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、失恋の痛み。そんな重荷を抱えた主人公たちが、旅先での出会いを通じて少しずつ心を解き放っていく姿に、自分の悩みも重ね合わせてしまいます。彼女たちの再生ストーリーは、あなたの心もスッキリさせてくれるでしょう。
- 「出会いって素敵だな」と思える温かい気持ち 偶然隣に座った人、道で助けてくれた人。そんな何気ない出会いが、人生をガラッと変えることがあります。この本を読むと、人とのつながりの温かさや大切さを再認識でき、明日会う人に少しだけ優しくなれるかもしれません。
- 現状を変えるための「小さな勇気」 「今のままじゃダメだ」と思っていても、なかなか行動に移せないことってありますよね。この物語の主人公たちも同じです。でも彼女たちは、旅を通じて自分を見つめ直し、新しい一歩を踏み出します。その姿が、あなたの背中をそっと押してくれるはずです。
2 こんな人におすすめ
- 仕事や人間関係にクタクタで、とにかくリフレッシュしたい人
- 毎日が同じことの繰り返し…何か新しい刺激が欲しいと感じている人
- 「どこか遠くへ行きたいな」とぼんやり考えているけど、きっかけがない人
- 心がカサカサしているから、温かい物語で潤したい人
- 人生このままでいいのかな?と、ちょっと立ち止まって考えている人
3 もう少し詳しく解説
著者の原田マハさんってどんな人?
アートを題材にした小説(アート小説)でとっても有名な作家さんです。『楽園のカンヴァス』や『暗幕のゲルニカ』などを読んだことがある人も多いかもしれませんね。でも実は、本作『さいはての彼女』のように、「旅と再生」をテーマにした心温まる物語もたくさん書かれています。原田さんの文章は、風景が目に浮かぶようで、読者を一瞬でその世界に連れて行ってくれる魅力があります。
この本の何が特別なの?
『さいはての彼女』は、4人の悩める女性たちが主人公の連作短編集です。
- 鈴木涼香:仕事はデキるけど性格はキツい女社長。失恋と部下の裏切りでボロボロに。
- 波口喜美(ハグ):失業し、人生を見失いかけた広告ディレクター。
- 陣野志保:パワハラが原因で休職に追い込まれたキャリアウーマン。
- 佐々木道代:愛する夫を事故で亡くした過去を持つ、ある登場人物の母親。
一見バラバラに見える彼女たちの物語は、実はゆるやかにつながっています。特に、涼香が北海道で出会う、耳の聞こえないハーレー乗りの少女「ナギ」の存在が、物語全体をつなぐ鍵。このつながりを見つけるのも、読書の楽しみのひとつです。
旅とバイクが教えてくれる、人生で大切なこと
この本の魅力は、なんといっても爽快な「旅」の描写。特に表題作「さいはての彼女」では、主人公の涼香が、秘書の策略(?)で沖縄旅行のはずが極寒の北海道へ飛ばされてしまいます。そこで出会うのが、耳が聞こえないけれど、力強くハーレーを乗りこなす少女ナギ。最悪の状況から始まった旅が、ナギとの出会いによって、人生で最高の旅へと変わっていく様子は、読んでいて胸が熱くなります。
「ハーレーなんて興味ないし…」という人も大丈夫。バイクはここでは「自由」や「前に進む力」の象徴。ナギが風を切って走る姿は、私たちに「立ち止まってないで、前に進もうよ!」と語りかけてくるようです。
仕事で成功することだけが人生じゃない。時にはすべてを放り出して、知らない土地へ行ってみる。そこで出会った人と心を通わせる。そんなシンプルなことが、固くなった心をほぐし、明日を生きるエネルギーをくれる。 『さいはての彼女』は、そんな当たり前だけど忘れがちな大切なことを、そっと思い出させてくれる一冊です。