「家族が壊れる…」壮絶な闘病記から学ぶ、本当の支え方とは?コミックエッセイ『高校生の娘が精神科病院に入りバラバラになった家族が再び出発するまで』

高校生の娘が精神科病院に入りバラバラになった家族が再び出発するまで

高校生の娘が精神科病院に入りバラバラになった家族が再び出発するまで

ISBN: 4046819502
3分で読める

結論から言うと

この本は、一人の女子高生が精神疾患になったことで、バラバラになりかけた家族が、それぞれの苦しみを乗り越えて再び出発するまでのリアルな物語です。当事者のつらさだけでなく、そばで支える家族が抱える葛藤や痛みに光を当てることで、本当の意味での「支え」とは何かを教えてくれます。

1 この本を読むと得られること

  1. 当事者だけでなく「支える家族」のリアルな苦悩がわかる 「娘の病気は自分の育て方のせいでは…」と苦悩する母、「心の病気なんて認めない!」と現実から目を背けようとする父、「妹のせいで友達にまで変な目で見られる…」と心労が重なる姉。本書では、それぞれの立場から見たリアルな感情が描かれており、支える側のつらさを深く理解できます。
  2. 摂食障害・強迫性障害のつらさが具体的にイメージできる 「神様」と名付けた頭の中の声に支配され、「食べたら悪いことが起きる」という命令で食事ができなくなったり、「ゴミ箱を10回触れ」といった奇妙な行動を繰り返さずにはいられなくなったり。病気の症状がどんなに苦しいものか、コミックだからこそ直感的に伝わってきます。
  3. 「誰も悪くない」という優しい視点を持てる 病気になると、当事者は「自分のせいだ」と責め、家族は「自分のせいかも」と悩みます。しかし本書では、ある占い師の「この病気は誰も悪くないからね」という言葉が、著者の母親を絶望の淵から救います。このメッセージは、同じような悩みを抱える多くの人の心を軽くしてくれるはずです。
  4. 家族が再生していくプロセスに希望がもらえる すれ違い、いがみ合い、バラバラになった家族。しかし、お互いの痛みを知り、少しずつ歩み寄ることで、関係はゆっくりと再生していきます。一直線ではないリアルな回復の道のりは、「時間はかかっても、きっと大丈夫」という希望を与えてくれます。

2 こんな人におすすめ

  • 家族や身近な人が心の不調を抱え、どう接すればいいか悩んでいる人
  • 摂食障害や強迫性障害など、メンタルヘルスについて理解を深めたい人
  • 自分のつらい気持ちを周りに理解してもらえず、孤独を感じている人
  • 子育てや家族関係で「自分のせいかも…」と自分を責めてしまいがちな人
  • 心を揺さぶるリアルなコミックエッセイを読んでみたい人

3 もう少し詳しく解説

著者はどんな人?

著者のもつおさんは、高校時代に強迫性障害と摂食障害を経験し、精神科病院への入院を経て回復した当事者です。デビュー作『高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで』では、主に自身の闘病体験を描き、大きな反響を呼びました。

この本のすごいところ

本作の最大の特徴は、前作で描ききれなかった**「家族の視点」**に深く切り込んでいる点です。「死にたくないのに、どうしても食べられないの」と泣く娘を前に、ただ黙って泣くことしかできなかった母。娘の激痩せした姿に戸惑い、病気を「わがまま」だと怒鳴ってしまう父。妹の奇行を止めようと監視し、疲れ果ててしまう姉。それぞれの視点から描かれるエピソードは、胸が締め付けられるほどリアルです。

一筋縄ではいかない「回復」のリアル

物語は、入院して「めでたしめでたし」では終わりません。退院後に襲ってきたのは、今度は食べ過ぎては吐いてしまう「過食嘔吐」の地獄でした。さらに、妹の看病で疲弊していた姉もまた、過食に苦しむようになります。 病気の回復は、一直線の右肩上がりではない。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ゆっくりと進んでいくもの。そんな「回復」のリアルな姿が、希望とともに描かれています。

この本は、つらい経験を描きながらも、読後には温かい光が感じられる一冊です。それはきっと、バラバラになってもお互いを思いやる家族の愛と、「この病気は誰も悪くない」という力強いメッセージが、物語全体を貫いているからでしょう。今、同じような苦しみを抱えている人にとって、必ずや心の支えとなるはずです。

この本を読んでみたくなりましたか?

気になった方は、ぜひ実際に手に取って読んでみてください。

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