目次
結論から言うと
この本は、「罪を犯した人間は本当に更生できるのか?」という重いテーマを、息もつかせぬどんでん返しの連続で描いた傑作ミステリーです。ただ犯人探しをするだけでなく、読後には「正義とは何か、罪を償うとは何か」を深く考えさせられる、心にズシンと響く一冊です。
1 この本を読むと得られること
- ジェットコースターのような読書体験ができる 「え、そっちが犯人だったの!?」と何度も叫んでしまうこと間違いなし。主人公の衝撃的な過去から、事件の意外な真相まで、ページをめくる手が止まらなくなる怒涛の展開が待っています。
- 「贖罪」という深いテーマについて考えられる 主人公・御子柴礼司は、過去に犯した大きな罪を背負って生きています。彼がなぜ悪徳弁護士として大金を稼ぐのか、そしてなぜ儲からない国選弁護を引き受けたのか。彼の行動を通して、「罪を償う」ことの本当の意味を考えさせられます。
- 魅力的なキャラクターに引き込まれる 過去の罪に苦しみながらも、圧倒的な知性と手腕で法廷を支配するダークヒーロー・御子柴。彼を執拗に追い詰める老獪な刑事・渡瀬。どのキャラクターも個性的で、彼らが織りなす人間ドラマが物語に深みを与えています。
- 難しい法律知識ゼロでも法廷ミステリーが楽しめる 法廷でのスリリングな駆け引きが、エンターテイメントとして非常に面白く描かれています。専門用語でつまずくことなく、まるで映画を観ているかのように物語に没頭できます。
2 こんな人におすすめ
- 最後まで結末が読めない、どんでん返し満載のミステリーが好きな人
- ただ面白いだけでなく、読後に何か考えさせられる深みのある物語を読みたい人
- 「正義とは何か?」「罪を償うとは?」といった重いテーマに惹かれる人
- クールで頭脳明晰、でも心に闇を抱えた「ダークヒーロー」が活躍する物語が好きな人
3 もう少し詳しく解説
著者・中山七里さんってどんな人?
「どんでん返しの帝王」の異名を持つ、大人気ミステリー作家です。『さよならドビュッシー』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビュー。音楽や法律、医療など、多彩なテーマを扱いながら、必ず読者をアッと言わせるエンタメ性の高い作品を次々と生み出しています。本作は、そんな中山さんの魅力が凝縮された代表作の一つです。
『贖罪の奏鳴曲』はどんな話?
物語の主人公は、どんな罪でも高額な報酬で無罪にしてしまうと噂の悪徳弁護士・御子柴礼司(みこしば れいじ)。彼は冒頭から、なんと死体を遺棄しているという衝撃的なシーンで登場します。
そんな彼が、なぜか儲けにならない国選弁護人として、夫殺しの罪で無期懲役となった女性・東條美津子の弁護を引き受けます。彼女は、夫の生命維持装置を止めたことを認めていますが、御子柴は法廷で驚くべき方法で彼女の無罪を主張し始めます。
一方で、御子柴の周りでは不穏な事件が起こります。彼の過去を嗅ぎつけたジャーナリストが殺され、その容疑は御子柴自身に向けられます。彼を追うのは、人の本質を見抜く鋭い眼を持つベテラン刑事・渡瀬。御子柴には完璧なアリバイがありましたが、渡瀬は彼がかつて日本中を震撼させた少年犯罪者「死体配達人」であることを見抜いていました。
御子柴はなぜ、依頼人を救おうとするのか。彼の本当の目的は何なのか。そして、彼が背負い続ける「贖罪」の行方とは――。
保険金殺人事件の真相、ジャーナリスト殺害事件の犯人、そして御子柴自身の過去が複雑に絡み合い、物語は誰も予想しなかった結末へと突き進んでいきます。単なるミステリーの枠を超え、人間の心の奥深くに潜む光と闇を描ききった、忘れられない一冊になるはずです。