【3分でわかる】『恋せぬふたり』- 恋愛しない私たちの新しい“家族”のカタチ

恋せぬふたり

恋せぬふたり

ISBN: 4087447243
4分で読める

結論から言うと

この本『恋せぬふたり』は、「恋愛や結婚だけが幸せの全てじゃない」という力強いメッセージを伝えてくれます。周りの「普通」に息苦しさを感じている人が読めば、自分らしい人との繋がり方を見つけ、もっとラクに生きるための勇気がもらえる一冊です。

1 この本を読むと得られること

  1. 多様な生き方への理解が深まる 「アロマンティック・アセクシュアル」という言葉を知っていますか? これは、他者に恋愛感情や性的魅力を感じないセクシュアリティのこと。本書を通じて、こうした多様な生き方があることを知り、「恋愛しない」という選択肢も当たり前なんだと視野がグッと広がります。
  2. 「普通」という呪いから解放される 「恋人は?」「結婚はまだ?」…そんな周りからのプレッシャーに、心がすり減っていませんか? 主人公たちの姿を通して、世間の「普通」に合わせる必要はないと気づかされます。「~すべき」という見えない鎖から解放され、心がふっと軽くなるはずです。
  3. 自分だけの「幸せのカタチ」を見つけるヒント 恋愛関係ではないけれど、誰よりも深く信頼し支え合う「家族(カッコ仮)」。そんな新しい関係性を模索する二人の物語は、自分にとって本当に心地よい人との繋がりとは何かを考えるきっかけをくれます。
  4. 共感できる主人公に元気をもらえる 主人公の咲子は、周りに合わせて愛想笑いを浮かべながらも、心の中では「何かが違う」と悩み続けています。そんな彼女が、戸惑いながらも自分の心に正直になろうと奮闘する姿は、読んでいる私たちに「そのままでいいんだよ」とエールを送ってくれます。

2 こんな人におすすめ

  • 周りの恋バナに全然ついていけなくて、いつも愛想笑いでやり過ごしている
  • 「結婚して一人前」「いい歳して恋人がいないなんて」というプレッシャーがしんどい
  • 恋愛や結婚だけが人生のゴールだとは思えない
  • 誰かと一緒にいたい気持ちはあるけど、それが恋愛感情なのかよく分からない
  • 「自分は周りとどこか違うのかも…」と、漠然とした孤独を感じている

3 もう少し詳しく解説

本書の著者である吉田恵里香さんは、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』など、数々のヒットドラマや映画の脚本を手がける脚本家。本作は、ご自身が脚本を執筆し、優れた脚本に贈られる「向田邦子賞」を受賞したNHKドラマ『恋せぬふたり』を小説化したものです。

物語の主人公は、スーパーの本社で働く兒玉咲子(こだまさくこ)。彼女は、後輩が企画した「恋する肉じゃが」のネーミングに首をかしげたり、上司の「恋しない人間なんていない」という言葉にうまく返せなかったりと、恋愛が当たり前とされる世の中にずっと違和感を抱いてきました。

親友・千鶴とのルームシェア計画も、千鶴が元カレとヨリを戻したことで白紙に。「咲子も早く運命の人に出会えるといいね」という言葉に深く傷ついた咲子は、ネットで**「アロマンティック・アセクシュアル(他者に恋愛感情も性的魅力も抱かないこと)」**という言葉に出会います。それは、まさに自分のことでした。

そんな時、咲子はアロマアセクについて発信するブログ「羽色キャベツのアロマ日記」の書き手が、スーパーの店員・高橋羽(たかはしさうる)であることを知ります。彼もまた、恋愛を前提としたコミュニケーションに疲れ、一人でいることに寂しさを感じていました。

「一人はいやだけど、恋愛はしたくない」

同じ想いを抱えていると知った咲子は、高橋に「私と家族になりませんか?」と、一世一代の提案をします。こうして始まったのが、恋愛感情抜きの「家族(カッコ仮)」としての奇妙な共同生活でした。

この物語の魅力は、ただ「恋愛しない人たち」を描くだけでなく、彼らを取り巻く人々との関係性を通じて、「家族とは何か」「幸せとは何か」を深く問いかける点にあります。

咲子のことを「俺の女」だと思い込む元カレ・カズくんの登場や、娘の生き方を理解できずに衝突する両親とのエピソードは、まさに「普通」という価値観との戦いです。しかし、彼らもまた、咲子や高橋と関わる中で少しずつ変化していきます。

最初は「お試し」だった二人の関係も、ぶつかり合い、支え合う中で、単なる同居人ではない、かけがえのない「味方」へと変わっていきます。

物語の最後、二人は物理的に離れて暮らすという選択をします。それでも彼らの「家族(カッコ仮)」の関係は終わりません。それは、恋愛や同居といった形に縛られない、もっと自由で新しい繋がりの可能性を示しています。

もしあなたが、世の中の「当たり前」に少しでも窮屈さを感じているなら、咲子と高橋さんの不器用だけど温かい物語が、きっとあなたの心を解きほぐしてくれるはずです。

この本を読んでみたくなりましたか?

気になった方は、ぜひ実際に手に取って読んでみてください。

Amazonで購入する

この記事が役に立ったらシェアしてください

© 2024 ゼロ読書. All rights reserved.