3分でわかる青春小説の金字塔『海がきこえる』―あの頃の"好き"をもう一度

海がきこえる 〈新装版〉

海がきこえる 〈新装版〉

ISBN: 4198947597
4分で読める

結論から言うと

この本は、高校時代の忘れられない恋や友情の「もしも」を追体験できる、切なくて懐かしい物語です。読めばきっと、自分の青春時代を思い出して胸がキュンとなったり、人間関係のすれ違いや勘違いがなぜ起こるのかを、登場人物たちを通して優しく理解できるでしょう。

1 この本を読むと得られること

  1. 懐かしい青春時代にタイムスリップできる 友達との他愛ない会話、文化祭の熱気、そして異性を意識し始めた頃のドキドキ感。主人公・拓の視点を通して、まるで自分の高校時代のようにリアルな日常が描かれています。忘れていたあの頃の感情が、鮮やかによみがえります。
  2. 人間関係の「なぜ?」がわかる 「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう」「なんで気持ちが伝わらないの?」そんな経験はありませんか? 主人公・拓、ヒロイン・里伽子、そして親友・松野。三人の想いが複雑に絡み合う様子から、言葉足らずやすれ違いが人間関係をどう変えてしまうのかを学べます。
  3. 「好き」という気持ちの奥深さに気づける この物語の「好き」は、単純な恋愛感情だけではありません。友情、意地、同情、反発心…そんな様々な感情がごちゃ混ぜになった、複雑でリアルな「好き」の形が描かれています。自分や誰かの気持ちを、より深く理解するきっかけになるはずです。
  4. 自分の「居場所」について考えさせられる 舞台は高知と東京。地方の心地よさと息苦しさ、都会の自由と孤独感。環境が変わることで揺れ動く登場人物たちの心を通して、「自分にとっての本当の居場所ってどこだろう?」と、ふと考えさせられます。

2 こんな人におすすめ

  • 昔の甘酸っぱい恋愛を思い出して、キュンとしたい人
  • 学生時代の友達と、なぜか疎遠になってしまった経験がある人
  • スタジオジブリの映画は好きだけど、原作はまだ読んだことがない人
  • プライドが高いけど、実は不器用な人にどこか共感してしまう人
  • 都会に憧れたり、逆に都会の喧騒に疲れたりしたことがある人

3 もう少し詳しく解説

この物語の作者である氷室冴子さんは、『なんて素敵にジャパネスク』シリーズなどで知られる、少女小説界のレジェンドです。彼女の描く物語は、ただ甘いだけでなく、登場人物の心の機微や成長をリアルに描き出すことで、多くの読者の心を掴んできました。

『海がきこえる』の最大の特徴は、主人公・杜崎拓(もりさき たく)の視点で、彼の言葉で物語が進んでいくこと。男性視点だからこそ、ヒロイン・武藤里伽子(むとう りかこ)の、自分勝手に見える行動の裏にある危うさや、ふとした瞬間に見せる可愛らしさが際立ちます。

物語は、拓の高校に東京から里伽子が転校してくるところから始まります。成績優秀でスポーツ万能、誰もが振り返る美少女。でも、そのプライドの高さとキツい物言いで、彼女はクラスで孤立してしまいます。

親友の松野はそんな里伽子に惹かれ、拓は二人を応援しようとしますが、物語は思わぬ方向へ。里伽子の「別れた父親に会いたい」という切ない願いが引き起こす、ハワイへの修学旅行での嘘や、拓を巻き込んだ東京への家出…。彼女に振り回され、呆れ、怒りながらも、なぜか目が離せない拓。そして、二人の間に生まれた特別な関係は、親友・松野との友情にまで、ほろ苦い影を落としていきます。

このどうしようもない「すれ違い」こそが、この物語の最大の魅力。なぜ私たちは、素直になれず、意地を張ってしまうのか。読み終えた後には、高知の海から聞こえてくる波の音のように、懐かしくて優しい気持ちが、あなたの心に静かに満ちてくるはずです。

この本を読んでみたくなりましたか?

気になった方は、ぜひ実際に手に取って読んでみてください。

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