目次
結論から言うと
この本は、幸せの絶頂から一転、母の死の謎を追うために人生のすべてを賭けた女性の、壮絶な復讐の物語です。読み終えたとき、逆境に立ち向かう勇気と、人間の愛憎の深さに心を揺さぶられること間違いなし!
1 この本を読むと得られること
- 昭和の世界にタイムスリップできる! 昭和30年代の東京が舞台。高級料亭のきらびやかな世界や、当時を騒がせた社会事件の雰囲気がリアルに描かれていて、まるでその時代にいるかのような気分を味わえます。
- 強いヒロインに勇気をもらえる! すべてを失った主人公・十希子が、絶望から立ち上がり、したたかに、そして強く運命を切り拓いていく姿に「自分も頑張ろう!」と背中を押されます。
- 最後までドキドキが止まらない! 母の死の真相は?黒幕は誰?十希子をめぐる男たちの思惑は?社会派ミステリーと恋愛小説が絶妙に絡み合い、ページをめくる手が止まらなくなります。
- 「本当の強さ」について考えさせられる ただ清く正しく生きるだけが強さじゃない。目的のためには手を汚すことも厭わないヒロインの生き様を通して、人間の複雑さや本当の強さについて深く考えさせられます。
2 こんな人におすすめ
- 最近、理不尽なことばかりで、なんだかスッキリしない人
- 困難な状況でも、たくましく生き抜く強い女性の物語が読みたい人
- 松本清張作品のような、社会の闇に切り込むミステリーが好きな人
- 『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラのように、自分の力で運命を切り開くヒロインに憧れる人
- 愛と裏切り、復讐が渦巻く、大人のための重厚なエンターテイメントを求めている人
3 もう少し詳しく解説
著者の背景
『食堂のおばちゃん』シリーズでおなじみの山口恵以子さん。ほんわかした人情話のイメージが強いかもしれませんが、実は、昭和の時代を背景に、女性の骨太な生き様を描く社会派小説の名手でもあるんです。
本の特徴や独自性
本作『夜の塩』は、まさにその真骨頂。幸せな女性教師だった主人公・十希子が、母の不可解な「心中事件」をきっかけに、政財界がうごめく高級料亭の世界へ飛び込みます。そこは、甘いだけの世界じゃない。嘘と裏切り、そして黒い欲望が渦巻く危険な場所。彼女は自らの美貌と知性を武器に、母の汚名をすすぐため、巨大な悪にたった一人で立ち向かっていきます。
より深い内容の解説
物語の魅力は、なんといっても主人公・十希子の"変貌"ぶり。清純な教師だった彼女が、復讐のためにしたたかな"夜の女"へと変わっていく姿は圧巻です。
彼女を取り巻く男性たちも個性的。元婚約者の親友で正義感の強いエリート検事、ゴシップを追いかける三流記者の皮を被った元・敏腕記者、そして十希子の運命を大きく揺るがす謎のブローカー…。彼らとの危険な駆け引きの中で、十希子は母の死の真相に近づいていきますが、その先には想像を絶する衝撃の事実が待っています。
これはただのミステリーではありません。愛とは何か、正義とは何か、そして人が生きる意味とは何かを問いかける、深く、そして切ない人間ドラマなのです。読書が苦手な人でも、まるで一本の映画を観るように夢中になれるはず。ぜひ手に取ってみてください。