目次
結論から言うと
この本は、ファッションが恋や人生を見つめ直す「きっかけ」になることを教えてくれます。試着室という特別な空間で、登場人物たちが自分の心と向き合い、新しい一歩を踏み出す姿に、あなたもきっと「明日から頑張ろう」と背中を押されるはずです。
1 この本を読むと得られること
- 自分を好きになるヒントが見つかる 「たらこみたいな指」がコンプレックスだったり、年齢による変化に落ち込んだり。登場人物たちが自分のコンプレックスを受け入れ、「個性」に変えていく姿から、自分をもっと好きになるためのヒントが得られます。
- マンネリな恋を乗り越える勇気がもらえる 長年付き合った彼との関係に「このままでいいのかな…」と悩む主人公。彼女がどうやって関係を見つめ直し、自分の気持ちを伝えたのか。その姿から、停滞した関係を動かすための勇気がもらえます。
- ファッションがもっと楽しくなる 「好きは、片思い。似合うは、両思い。」という作中の言葉にハッとさせられます。ただ流行を追うのではなく、本当に自分に似合う服を見つけることの大切さが分かり、明日からの服選びがもっと楽しく、意味のあるものに変わります。
- リアルな女性の物語に深く共感できる 不倫、婚約破棄、年下への片思い、結婚への焦り…。登場する女性たちの悩みは、どれも「わかる…」と共感してしまうものばかり。彼女たちの物語に自分を重ねることで、心が癒され、軽くなるのを感じるでしょう。
2 こんな人におすすめ
- 恋人との関係がマンネリ気味で、どうしたらいいか分からない人
- 恋愛や仕事で「このままでいいのかな?」と漠然とした不安を感じている人
- 周りと比べて自信をなくしたり、自分のコンプレックスが気になったりする人
- おしゃれは好きだけど、最近何が自分に似合うのか分からなくなってきた人
- 心がキュンとするような、リアルで感動的な物語を読んで元気になりたい人
3 もう少し詳しく解説
この本の著者、尾形真理子さんは、ルミネの「恋は奇跡。愛は意思。」といったキャッチーな広告コピーを手がけたことで有名なクリエイティブディレクターです。彼女が紡ぐ言葉は、女性の心の機微を捉えるのが本当にうまく、物語全体がキラキラした短い詩のように感じられます。
■物語の舞台は、渋谷の片隅にあるセレクトショップ
物語は、渋谷の路地裏にひっそりと佇むセレクトショップ「Closet」を舞台にした、5人の女性たちの短編連作集です。
- メイコ:10年付き合った彼との関係にマンネリを感じ、自分の「たらこみたいな指」がコンプレックス。
- クミ:不倫相手との未来が見えず、年齢による肌の変化に落ち込む日々。
- チヒロ:9歳年下の同僚に片思い。自信がなくて、地味な自分を変えたいと思っている。
- アユミ:元カレと後輩の婚約者として再会。結婚に踏み切れず、自分の気持ちが分からなくなる。
- マサコ:「平凡な自分」に不満を持ち、才能あふれる彼氏の隣にいることに気後れしている。
彼女たちはそれぞれが悩みを抱え、ふらりと「Closet」を訪れます。そして、試着室という自分だけの空間で新しい服と向き合ううちに、忘れていた気持ちや、見て見ぬふりをしてきた本当の想いに気づかされていくのです。
「試着室で思い出す相手こそが、本気の恋の相手」。このタイトルが示す通り、服を選ぶという日常的な行為が、自分の人生にとって本当に大切なものは何かを教えてくれる、不思議で、心温まる物語です。読書が苦手な方でも、一話が短いのでサクサク読めて、読後にはきっと心が晴れやかになっているはずですよ。