3分でわかる『貧困と脳』―「なぜか頑張れない…」は、あなたのせいじゃないかもしれない。

貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」

貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」

ISBN: 4344987535
3分で読める

結論から言うと

「頑張りたいのに動けない」「約束を守れない」といった問題は、本人の怠慢や性格のせいではなく、脳の機能が低下した**「不自由な脳」**が原因かもしれません。この本は、その苦しい状況はあなたのせいじゃないと伝え、自分や他人を責めるループから抜け出すきっかけをくれます。

1 この本を読むと得られること

  1. 「なぜかできない」の正体がわかる 「急に頭が真っ白になる」「簡単な事務作業ができない」「時間を守れない」。こうした謎の不調の裏には、「脳性疲労」や「ワーキングメモリ(頭の中のメモ帳)の低下」といった脳機能の問題が隠されています。そのメカニズムが、当事者のリアルな感覚で理解できます。
  2. "自己責任"という呪いから解放される 「頑張れないのは自分の甘えだ」という自己嫌悪や、周りの人への「なんでやらないの?」というイライラから解放されます。見えないところで必死に努力している人がいることに気づき、自分にも他人にも優しくなれます。
  3. 今日から使える具体的な対策が見つかる 困った状況を乗り切るための具体的なヒントが満載です。特に、人を頼ることの重要性を説く「適度な依存」という考え方は、孤立しがちな心を軽くしてくれます。また、生活保護のような制度を「再挑戦するための権利」として前向きに捉え直す視点も得られます。

2 こんな人におすすめ

  • 頑張りたいのに、なぜか体が動かなかったり、頭が働かなかったりして悩んでいる人
  • やるべきことを先延ばしにしたり、約束を破ってしまったりして、自分を責めてしまう人
  • 家族や同僚に対して「もっとちゃんとしてほしい」と感じ、ついイライラしてしまう人
  • 貧困や生きづらさの問題に関心があるけど、「自己責任でしょ?」という言葉にモヤモヤしている人
  • うつ病、発達障害、ストレスなどで「働きづらさ」を感じている当事者や、そのご家族

3 もう少し詳しく解説

この本のすごいところは、著者の鈴木大介さん自身が壮絶な体験をしていることです。

もともと鈴木さんは、『最貧困女子』などのベストセラーで知られるルポライター。貧困の現場を取材し、当事者のリアルを描いてきました。しかしある日、自身が脳梗塞で倒れ、**「高次脳機能障害」**という脳の機能がうまく働かなくなる障害の当事者になったのです。

すると、かつて取材対象者に感じていた「どうしてこんなにだらしないんだろう?」「なぜ動かないんだろう?」という疑問の答えが、自分の身をもってわかりました。それは「働かない」のではなく、必死にやろうとしても「働けない」という、絶望的な状況だったのです。

本書では、その「働けない脳」のリアルが、これでもかというほど具体的に描かれています。

  • 頭が真っ白になる「脳性疲労」:健常者の「疲れ」とはレベルが違い、思考や読解、対話が一切できなくなる地獄のような状態。
  • 督促状を開けられない理由:不安なことや嫌なことを見ると、脳がフリーズして何もできなくなるため、無意識に自己防衛している。
  • 行政の書類が書けない地獄:大量の情報、専門用語、複雑な記入欄を前にすると脳がパニックを起こし、自分の住所すらわからなくなってしまう。

こうした困難は、脳梗塞の後遺症だけでなく、うつ病や発達障害、認知症、さらにはDV被害や過重労働による強いストレスでも起こりうる、誰にでも関係のあるリスクだと著者は指摘します。

この本は、ただ問題を指摘するだけではありません。どうすればその困難を乗り越えられるか、当事者はどう自分を理解し、周りはどう支えればいいのか、具体的な道筋を示してくれます。

もしあなたが今、理由のわからない不調や生きづらさを感じているなら、この本はきっとあなたの心を軽くし、次の一歩を踏み出す勇気をくれるはずです。

この本を読んでみたくなりましたか?

気になった方は、ぜひ実際に手に取って読んでみてください。

Amazonで購入する

この記事が役に立ったらシェアしてください

© 2024 ゼロ読書. All rights reserved.