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結論から言うと
この本は、一見複雑な謎解きを「ロジック」という武器一つで鮮やかに解き明かす、超爽快な本格ミステリです。難しそうに聞こえるかもしれませんが、舞台は高校、登場人物も個性的な高校生たちなので、ミステリ初心者でも夢中になること間違いなし!読めば、論理的に考えることの面白さにハマってしまいますよ。
1 この本を読むと得られること
- 論理的思考の面白さを体感できる 探偵役の裏染天馬が、バラバラに見える証拠や証言を一つの美しい線でつないでいく過程は、まるで極上のパズルを解くような快感!「なぜ、そこに傘が?」「この証言の矛盾点は?」と、日常に潜む「なぜ?」を考えるのが楽しくなります。
- 本格ミステリへの苦手意識がなくなる 「分厚い」「難しそう」というミステリのイメージを覆してくれます。テンポの良い会話と、学園という身近な舞台設定で、普段本を読まない人でもスラスラ読み進められます。本格ミステリへの最高の入門書です。
- 個性豊かなキャラクターに夢中になれる 学校の部室に住み着くアニメオタクのひきこもり探偵・裏染天馬。彼に捜査を依頼する普通の女子高生・袴田柚乃。他にもキャラの濃い部活仲間や生徒会役員が次々登場し、彼らの掛け合いが物語を一層面白くしています。
- 自分の推理力を試せる 物語の途中で「読者への挑戦」というページが挿入されます。そこまでに提示されたヒントは、すべてあなたも読んでいるもの。探偵と同じ土俵で「犯人は誰か?」を推理する、ゲームのような楽しみ方ができます。
2 こんな人におすすめ
- 「コナン」や「金田一少年の事件簿」のような謎解きが好きだけど、活字はちょっと苦手な人
- 難しそうなミステリ小説に挑戦したいけど、何から読めばいいかわからない人
- ただのサスペンスじゃ物足りない!ロジカルでフェアな謎解きを楽しみたい人
- 魅力的なキャラクターたちが織りなす物語が好きな人
3 もう少し詳しく解説
この『体育館の殺人』は、2012年に青崎有吾さんが大学在学中に執筆し、デビューした作品です。「平成のエラリー・クイーン」とも称される著者が描く、ロジカル・ミステリの傑作として知られています。
物語の舞台は、どこにでもある普通の高校「風ヶ丘高校」。その旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺されます。現場は出入り不可能な「密室状態」。警察が女子卓球部の部長を犯人だと決めつける中、部員の柚乃は、学内一の天才と呼ばれる**裏染天馬(うらぞめ てんま)**に助けを求めます。
この裏染天馬が、とにかく強烈なキャラクター。テストで全科目満点を取るほどの天才でありながら、その正体は学校の“開かずの部室”に住み着くアニメオタクのひきこもり。普段はダメ人間なのに、ひとたび事件の話を聞けば、驚異的な推理力を発揮します。
彼の武器は、物理的な証拠ではなく、純粋な「論理(ロジック)」。 たとえば、現場の男子トイレに残されていた一本の黒い傘。警察はただの遺留品として見過ごしますが、裏染は「なぜ、雨の日に自分の傘を現場に置いていくのか?」「犯人はどうやって濡れずに逃げたのか?」という疑問から出発し、犯人の入手経路や行動、さらには密室トリックの真相までをも鮮やかに解き明かしていきます。このロジックの連鎖は、まさに圧巻の一言です。
難解なトリックや複雑な人間関係に頭を悩ませるのではなく、提示された事実をどう組み合わせ、どう解釈すれば真実にたどり着けるのか。この知的なゲームを、あなたも裏染天馬と一緒に楽しんでみませんか?