目次
結論から言うと
本書は、世界最大の完全リモート組織GitLabの秘訣を解き明かし、「徹底したドキュメント化」さえできれば、オフィスがなくても誰でもハイパフォーマンスな組織を再現できると教えてくれます。これを読めば、あなたのチームも場所や時間に縛られず、最高の成果を出せるようになりますよ。
1 この本を読むと得られること
- 優秀な人材を世界中から採用できる方法 オフィスへの出社が前提でなくなると、採用できる人材の範囲は日本全国、いや世界中にまで広がります。本書を読めば、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を惹きつけ、採用競争に勝つための具体的な組織づくりのヒントが得られます。
- 無駄な会議を撲滅し、生産性を上げるコツ 「この会議、意味ある？」と感じたことはありませんか？GitLab流の「非同期コミュニケーション（すぐに返事を期待しないやり取り）」と、すべてを記録に残すドキュメント術を学べば、不要な会議は激減。本当にやるべき本質的な仕事に集中できるようになります。
- 心理的安全性の高いチームの作り方 Googleの調査でも有名になった「心理的安全性（チーム内で安心して発言・挑戦できる状態）」。本書では、この心理的安全性を「思いやり」や「気合」といった曖昧なものではなく、具体的なルールや習慣によってチームに根付かせる方法がわかります。
- 「あの人しか知らない」をなくす組織運営術 業務を徹底的にドキュメント化し、「GitLab Handbook」のように信頼できる唯一の情報源（SSOT）にまとめる方法を学べます。これにより、誰かが急に休んでも業務が止まらない、変化に強い組織を構築できます。
2 こんな人におすすめ
- リモートワークを導入したものの、孤独感やコミュニケーション不足で生産性が落ちていると感じるマネージャー。
- 「会議のための会議」や不要な報告業務にうんざりし、もっと本質的な仕事に集中したいと思っている人。
- チーム内の情報格差が激しく、「あの人しか知らない」情報が多くて困っているリーダー。
- 優秀な人材を採用したいが、オフィスの場所に縛られて採用候補者が限られてしまう人事担当者。
- 「察して」「空気を読んで」という文化に疲れ、もっと明確で合理的な働き方をしたいと考えているすべての人。
3 もう少し詳しく解説
著者の千田和央氏は、自身が人事責任者を務める会社で本書のノウハウを実践し、厚生労働省の「輝くテレワーク賞」を受賞するなど、確かな実績を持っています。そのため、本書は単なる理論書ではなく、日本の組織で実際に試行錯誤した経験に基づいた、非常に実践的な内容となっています。
本書の最大の特徴は、世界で数千ページにも及ぶGitLab社の社内ルールブック「GitLab Handbook」のエッセンスを、日本の読者にも分かりやすく凝縮している点です。
特に重要なのが、以下の2つの考え方です。
- 徹底したドキュメント文化 GitLabでは、口頭でのやり取りや暗黙の了解を徹底的に排除します。業務プロセス、意思決定の経緯、コミュニケーションルールまで、すべてを「ハンドブック」という**信頼できる唯一の情報源（SSOT）**に集約します。これにより、誰でも、いつでも、どこからでも必要な情報にアクセスでき、属人化を防ぎ、公平な組織運営が可能になるのです。
- 非同期コミュニケーション チャットやメールで、すぐに返事を期待しないコミュニケーションを基本とします。これにより、時差や個人の都合に左右されることなく、メンバーは自分のペースで深く思考する時間を確保できます。結果として、無駄な会議や割り込み作業が減り、生産性が劇的に向上するのです。
さらに、GitLabの成功を支える6つの「Value（価値観）」—コラボレーション、成果、効率性、多様性、イテレーション（反復）、透明性—についても詳しく解説されています。これらをただのお題目で終わらせず、評価や採用、日々の業務にまで落とし込む具体的な方法を知ることで、あなたの組織も「世界最先端」の働き方を手に入れることができるでしょう。