目次
結論から言うと
「為替」の動きを理解すれば、経済全体の仕組みと、それが自分の生活にどう影響するかが手に取るようにわかるようになります。毎日のニュースで流れる「1ドル=〇〇円」という数字が、ただの数字ではなく、自分の財布や将来に関わる重要な情報だと実感できるようになる一冊です。
1 この本を読むと得られること
- 「円高・円安」が生活に与える影響が具体的にわかる 「円高だと海外旅行が安くなる」くらいの知識はあっても、それ以上のことはよくわからない、という人は多いはず。本書を読めば、「円高になると、輸入品が安くなるから、ガソリンや小麦の価格が下がって家計が助かる」「逆に円安になると、輸出企業が儲かるから、そこで働く人のボーナスが増えるかも?」といった、為替と生活のリアルなつながりを理解できます。
- 経済ニュースの「なぜ?」がスッキリ解消される 「なぜ円高になると株価が下がるの?」「アメリカの金利が上がると、どうして円安になるの?」といったニュースの裏側にある因果関係を、ロジカルに、でも驚くほど分かりやすく解説してくれます。これまでチンプンカンプンだった経済ニュースの言葉がスッと頭に入ってくるようになり、世の中の動きを自分で考えられるようになります。
- 世界経済の大きな流れを掴めるようになる 「世界情勢が不安定になると円が買われる(円高になる)」という現象を聞いたことはありませんか?本書では、その理由が「円キャリー取引」という世界的なお金の流れにあることを教えてくれます。日本が世界から「安全な国」と見られている本当の意味がわかり、グローバルな視点でお金の動きを捉えられるようになります。
- 自分の資産を守り、育てるための判断力が身につく 為替の知識は、外貨預金やFX、投資信託といった資産運用に直結します。「円安が進みそうだから、今のうちにドル建ての資産を持っておこうかな」といったように、為替の動きを予測して、自分の資産をどう守り、どう育てていくかの判断材料になります。NISAやiDeCoを始めた人にも必須の知識です。
2 こんな人におすすめ
- テレビの経済ニュースが始まると、ついチャンネルを変えてしまう人
- 「円高って、結局私たちにとって良いこと?悪いの?」と聞かれて、うまく説明できない人
- 海外旅行や海外通販が好きで、少しでもお得に楽しみたいと思っている人
- 将来のために投資を始めたいけど、何から勉強すればいいかわからない人
- 仕事の雑談で経済の話題が出たときに、自信を持って話せるようになりたいビジネスパーソン
3 もう少し詳しく解説
著者の角川総一さんは、元金融専門紙の記者で、「伝説の金融アナリスト」とも呼ばれる経済分析のプロフェッショナル。本書は、そんな著者が「世界で最もやさしい為替の入門書」を目指して書いた一冊です。
本書の最大の特徴は、単なる用語解説に終わらないこと。「為替が動くと、経済はどうなる?」という**因果関係(つながり)**に徹底的にこだわって書かれています。 例えば、「円高」という一つの現象が、
円高
→ 輸出企業の売上が減る
→ 株価が下がる
→ 年金の運用利回りが悪化する
→ 将来もらえる年金が減るかも…
というように、ドミノ倒しのように私たちの生活に影響を与えていく様子が、豊富な図解とともにダイナミックに描かれています。この「つながり」で理解するから、一度読めば忘れにくく、応用も利くのです。
また、経済の複雑な側面も正直に教えてくれます。例えば、「金利が上がると通貨高になる」のが基本ですが、ときには「通貨高が見込まれると金利は下がる」という真逆の現象も起こります。これは「どちらが主導権を握っているか」で結果が変わるから。こうした経済の「生き物」のような側面を知ることで、より深く、面白く世界を見られるようになります。
「為替」は、まさに経済のキホン。この一冊で為替をマスターすれば、あなたの世界を見る解像度は格段に上がり、日々のニュースが自分ごととして捉えられるようになるでしょう。