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結論から言うと
仕事や勉強で結果を出すカギは、実は小学校の国語で習った「文章の構造を読み解く力」にありました。この本を読めば、その力を大人向けにアップデートし、論理的思考力と他者への共感力を同時に鍛える具体的な方法がわかります。
1 この本を読むと得られること
- 話の要点が瞬時に掴めるようになる メールや資料を読んでも「結局何が言いたいんだっけ?」となることがなくなります。文章全体の設計図(構造)が見えるようになるので、重要なポイントを素早く正確に理解できます。会議でも、相手の発言の意図を汲み取れるようになります。
- 「で、結局何が言いたいの?」と言われなくなる 自分の考えを分かりやすく伝えるスキルが身につきます。報告書やプレゼン資料を作る際に、読む人が納得しやすい「構造」を自分で組み立てられるようになるからです。論理的でストーリーのある伝え方ができるようになり、説得力が格段にアップします。
- 相手の気持ちを汲み取ったコミュニケーションができる この本はロジックだけでなく、物語文の読解を通して「人の心情を読む」訓練も重視します。登場人物の立場や気持ちを想像する練習は、実生活でのコミュニケーションにも直結。相手の状況を思いやるクセがつき、人間関係がスムーズになります。
- 難しいフレームワークなしで思考力が鍛えられる ロジカルシンキングの本で挫折した経験はありませんか?この本で紹介されるのは、小学校の授業がベースの「構造学習」というシンプルな方法。新聞記事や小説など、身近な文章を使いながら、無理なく思考のトレーニングを続けられます。
2 こんな人におすすめ
- 会議で話がなかなかまとまらない、論点がずれてしまうと感じている人
- メールや報告書を書くのにいつも時間がかかってしまう人
- 「もっと分かりやすく説明して」とよく言われてしまう人
- ロジカルシンキングの本を読んだけれど、難しくて挫折してしまった人
- 人の気持ちを汲み取るのが苦手で、コミュニケーションに自信がない人
3 もう少し詳しく解説
著者の「人生を切り拓いたスキル」がベース
著者の河村有希絵さんは、東大・MBAを経てコンサルティングファームで活躍された経歴の持ち主。しかし意外にも、新卒時代は分析作業が苦手で「採用ミスだったのでは」と悩んでいたそうです。
そんな彼女を救ったのが、無意識にやっていた「構造を整理してインプットする力」と「構造を組み立ててアウトプットする力」でした。その力の源泉が、小学校時代に受けた「構造学習」というユニークな国語の授業だったと気づき、その有効性を伝えるために本書は生まれました。
「構造学習」ってなに?
この本の独自性は、この「構造学習」に基づいている点です。難しく聞こえるかもしれませんが、要は「文章全体の設計図を読み解いて、筆者の本当の意図を深く理解するための思考トレーニング」です。
本書では、このアプローチを大人向けに3つのメソッドに体系化しています。
- 論理を読み解く:説明文やニュース記事から、主張と根拠の関係(構造)を見抜く力
- 心情を読み解く:物語から、登場人物の気持ちや人間関係を深く理解する力
- 思考を組み立てる:読み解いた構造を応用し、自分の考えを分かりやすく表現する力
論理的思考力(ロジカルシンキング)と共感力(エンパシー)を、読解を通じて同時に鍛えられるのが最大の特徴です。
具体的なトレーニング方法が満載
「じゃあ、どうやって訓練するの?」と思いますよね。本書には、すぐに実践できる具体的なトレーニング方法がたくさん紹介されています。
例えば、新聞の社説を読んで、どの段落が「主張」で、どれが「根拠」や「具体例」なのかを図にしてみる練習。最初は難しく感じるかもしれませんが、これを繰り返すことで、どんな文章でも骨格を捉えるスピードが上がっていきます。
また、『ごんぎつね』のような有名な物語を題材に、「このとき、ごんはどんな気持ちだった?」「撃ってしまった兵十の気持ちは?」と、主人公だけでなく脇役の視点からも心情を想像する訓練も紹介されています。
これらのトレーニングは、情報を正確にインプットする力だけでなく、自分がレポートを書いたりプレゼンをしたりする際のアウトプットの質を劇的に向上させてくれます。仕事やコミュニケーションで「なんだかうまくいかないな」と感じているなら、その原因は「構造を読み解く力」にあるのかもしれません。本書はその悩みを解決する、強力な一冊となるはずです。