目次
結論から言うと
株は「安く買って高く売る」ゲームではありません!優れた会社のオーナーになって、経済や企業の成長の果実をのんびり受け取ることが、本当に資産を増やすための王道です。 この本を読めば、日々の株価に一喜一憂する短期売買から解放され、どっしりと構えて着実に資産を育てる「本当の資産運用」を始められます。
1 この本を読むと得られること
- 短期売買のワナから抜け出せる 「誰かの儲けは誰かの損」である短期売買は、手数料を考えると参加者全員でマイナスになる「ゼロサムゲーム」。しかも、その道のプロやAIがひしめく世界で、個人が勝ち続けるのはほぼ不可能です。本書はその構造を論理的に解説し、なぜ私たちが短期的な値動きを追うべきでないのかを教えてくれます。
- 「長期保有」が最強である理由がわかる 経済が成長すれば、企業も成長し利益を増やします。その企業の株を長く持つことで、配当や株価上昇という形で成長の恩恵を受けられるのが長期保有です。これは参加者全員が利益を得られる「プラスサムゲーム」。この本質を理解すれば、目先の株価下落も「いつか戻るさ」と泰然と構えていられるようになります。
- 本当に「良い会社」を見抜くモノサシが手に入る 長期保有で成功するには、どの会社の株を持つかが重要です。本書では、「PBR(株価純資産倍率)」といった具体的な指標を使い、将来性のある優れた企業を見抜くための実践的な方法を解説。感覚だけでなく、客観的なデータに基づいた企業選びができるようになります。
- 投資への漠然とした不安が消える 著者は60年間も株式市場と付き合ってきた大ベテラン。「欲をかかなければ、大ケガとは無縁」「株価はゼロにはならない」という経験に裏打ちされた言葉が、投資への漠然とした恐怖心を取り除き、最初の一歩を踏み出す勇気をくれます。
2 こんな人におすすめ
- 新NISAやiDeCoで積立投資を始めたけど、次のステップとして個別株に挑戦したい人
- 「株はギャンブル」「投資は怖い」というイメージがあって、なかなか一歩を踏み出せない人
- 過去に短期売買で失敗し、投資から遠ざかってしまっている人
- 毎日株価をチェックするのは面倒だけど、将来のために着実に資産は増やしたいと思っている人
- 「資産運用」と「投機」の違いをしっかり理解して、地に足のついた投資をしたい人
3 もう少し詳しく解説
著者はどんな人?
著者の川北英隆さんは、日本生命の資産運用部門を経て、京都大学で長年証券投資を教えてきた名誉教授。まさに「理論」と「実践」の両方を極めたプロ中のプロです。ご自身も幼少期から60年以上にわたり株式投資を続けており、本書にはその膨大な経験から得られた知恵が詰まっています。
「売買しない」ことを教える、異色の投資本
多くの投資本が「安く買って高く売る」テクニックを教えるのに対し、本書は「なるべく売買せず、優れた企業の株をじっくり持つこと」こそが王道だと説きます。著者は、短期的な値動きを追う「投資」と、長期的に資産を育てる「資産運用」を明確に区別。個人投資家が目指すべきは後者であると一貫して主張します。
具体的な銘柄を推奨するのではなく、「なぜ長期保有なのか」「どういう企業を選ぶべきか」という普遍的な哲学と判断基準を教えてくれるので、時代が変わっても役立つ一生モノの知識が身につきます。
企業選びの切り札「PBR」って何?
本書が特に重視するのが「PBR(株価純資産倍率)」という指標です。すごく簡単に言うと、「会社の解散価値に対して、株価が何倍か」を示すもの。もしPBRが1倍を割れていたら、その会社は市場から「今の経営では、持っている資産を活かしきれていない」と判断されているサイン。逆に、PBRが1倍を大きく超える企業は、株主の期待に応えて成長している証拠です。この「PBR」というモノサシを使えば、企業の真の実力を見抜く大きなヒントが得られます。
投資信託との賢い付き合い方もわかる
著者は基本的に個別株への投資を推奨していますが、投資信託を全否定しているわけではありません。「自分ではよくわからない海外の成長分野に投資したい」といった場合には有効だとし、特にアメリカの代表的な株価指数に連動する「S&P500型ETF」の活用法などを紹介しています。自分に合った資産運用のスタイルを築くための、バランスの取れた視点が得られるのも魅力です。