目次
結論から言うと
「よかれと思って」やっているあなたの子育て、もしかしたら子どもの成長を止めてしまう『危ない子育て』になっているかもしれません。この本は、自分の子育ての「クセ」に気づき、親子関係をより良くするための具体的なヒントをくれます。
1 この本を読むと得られること
- 自分の「子育てタイプ」がわかる! 本書で紹介される「過保護」「高圧」「甘やかし」「無関心」という4つのタイプ分けで、自分の子育ての傾向やクセを客観的に把握できます。巻末のチェックリストを使えば、パートナーと一緒に自己分析するのも簡単です。
- 「危ない子育て」のリアルな事例を知れる 1万人の非行少年を分析した著者が見てきた、リアルな失敗事例が満載。「こんな子育てが、こんな問題につながるのか…」と、具体的なストーリーを通じて学べるので、自分ごととして考えやすくなります。
- 子どもの問題行動の裏にある「SOS」に気づけるようになる 子どもがなぜ反抗したり、ウソをついたりするのか。その心理的な背景がわかります。子どもが発しているサインをキャッチし、頭ごなしに叱るのではなく、根本的な原因に対処できるようになります。
- 現代の犯罪から子どもを守る知識が身につく 特殊詐欺やSNSでの迷惑行為、ネット経由の薬物など、子どもたちが巻き込まれやすい最新の犯罪についても解説されています。親子で社会のリスクについて話し合う、良いきっかけになります。
2 こんな人におすすめ
- 子育てに一生懸命なのに、なぜかうまくいかないと感じている人
- 自分の子育てが「厳しすぎる?」「甘やかしすぎ?」と時々不安になる人
- 子どもの反抗期や問題行動に、どう対応していいかわからず悩んでいる人
- パートナーや祖父母との子育て方針の違いに、ストレスを感じている人
3 もう少し詳しく解説
この本の著者は、1万人以上の犯罪者や非行少年を分析してきた犯罪心理学者の出口保行さん。「子育ての成功法則」ではなく、数多くの「失敗事例」から学ぶ、というユニークな視点で子育ての核心に迫ります。
本書のキモは、子育ての態度を4つのタイプに分類して解説している点です。
- 過保護型:自分で決められない子 子どものためを思って失敗しないように先回りし、何でも手伝ってしまうタイプ。子どもの「自分で考えて決める力(自己決定力)」を奪い、依存的な性格にしてしまう危険があります。常に子どもの周りを飛んで監視する「ヘリコプターペアレント」もこの一種です。
- 高圧型:自分で考えて動けない子 「~しなさい」と命令し、親の価値観を一方的に押し付けるタイプ。子どもは親の顔色をうかがう「指示待ち人間」になりがち。行き過ぎると、子どもの心を追い詰める「教育虐待」につながることもあります。
- 甘やかし型:人の気持ちがわからない子 子どもの要求を何でも受け入れ、我慢をさせないタイプ。「甘えさせる」ことと「甘やかす」ことは全く別物。自分の思い通りにならないと癇癪を起すなど、自己中心的になりやすい傾向があります。
- 無関心型:愛に飢えて暴走する子 仕事や趣味を優先し、子どもに十分な愛情を注がないタイプ。衣食住は与えていても、心が満たされない子どもは愛情に飢え、寂しさを埋めるために非行グループなど危険な世界に居場所を求めてしまうことがあります。
どのタイプにも、親としての「よかれと思って」という気持ちが隠れています。でも、その気持ちが極端に偏ると、子どもの成長を妨げる「危ない子育て」になってしまうのです。
大切なのは、完璧な親を目指すことではありません。本書が伝えるのは、「偏らない親なんていない。だからこそ、自分の偏りに気づき、夫婦で話し合い、修正していくことが大事」というメッセージです。子どもの反応をフィードバックと捉え、親子でより良い関係を築いていく。そのためのヒントが、この本には詰まっています。