目次
結論から言うと
この本、アーノルド・ベネットの『自分の時間』が伝えたいのは、「時間がない」のではなく「時間を意識して使っていない」だけだという、シンプルだけど衝撃的な事実です。1日の中にほんの少しでも「自分だけの時間」を意識的につくることで、あなたの人生は確実に豊かになります。
1 この本を読むと得られること
この100年以上前の本を読むと、現代の私たちにも役立つたくさんの知恵が得られます。
- スキマ時間を「魔法の時間」に変える方法がわかる 多くの人が無駄にしている通勤時間や、寝る前のちょっとした時間。本書では、この時間を「誰にも邪魔されない貴重な財産」と捉え、自己投資に使う具体的な方法を教えてくれます。例えば「週に3回、夜に90分だけ」と決めて、自分の好きなことを学ぶ時間に充てるだけで、人生は大きく変わると著者は言います。
- 三日坊主にならない「小さな目標」の立て方が身につく 「よし、やるぞ!」と意気込んでも、すぐに挫折してしまう…そんな経験はありませんか?著者は「華々しい失敗より、つまらない成功のほうがずっと良い」と断言します。最初から大きな目標を立てるのではなく、週に7時間半といった達成可能な目標から始めることで、自信がつき、継続する力が身につきます。
- 日常の退屈を「面白い探求」に変える視点が見つかる 自己投資と聞くと、難しい本を読んだり、資格の勉強をしたり…とハードルが高いイメージがあるかもしれません。しかし著者は、音楽や芸術、さらには「なぜこの道は混むのか?」といった日常の些細なことの原因と結果を考えるだけでも、立派な知的トレーニングになると言います。この視点を持つだけで、退屈な日常が面白い探求のフィールドに変わります。
2 こんな人におすすめ
- 「もっと時間があれば、やりたいことがあるのに…」が口癖になっている人
- 仕事と家の往復だけで1日が終わり、なんとなく虚しさを感じている人
- 新しいことを始めても、いつも三日坊主で自分にがっかりしてしまう人
- 毎日が同じことの繰り返しで、何か人生に刺激や変化がほしいと思っている人
3 もう少し詳しく解説
著者のアーノルド・ベネットは、100年以上も前に活躍したイギリスの大作家。彼自身、法律事務所の事務員からキャリアをスタートさせ、独学と努力で大作家へと上り詰めた人物です。だからこそ、彼の言葉には机上の空論ではない、リアルな説得力があります。
この『自分の時間』のすごいところは、1908年頃に書かれたにもかかわらず、その内容が現代の私たちに驚くほど当てはまる点です。「時間に追われる感覚」は、スマホもSNSもなかった当時から、人々の共通の悩みだったのですね。
本書は単なる精神論ではありません。「朝、自分でお茶を入れるための具体的な手順」や「通勤電車で新聞を読むのをやめ、思考を集中する訓練をする」といった、今日からすぐに実践できる超具体的なテクニックが満載です。
そして、この本が目指すゴールは、単なる時間管理術のマスターではありません。それは、生まれた時間を使い、自分自身を深く知り、人生という素晴らしい体験を味わい尽くすこと。そのために「内省の時間(自分を静かに振り返る時間)」を持つことの重要性を繰り返し説いています。
もしあなたが「毎日何かに追われて、自分の人生を生きていない気がする」と感じているなら、この本はきっと、あなたの背中を優しく、しかし力強く押してくれるはずです。