目次
結論から言うと
この本は、障害者グループホームのリアルな日常を通して、人間関係の悩みや生きづらさを解消するヒントをくれる一冊です。 著者独自のスピリチュアルな視点に触れることで、目の前の出来事に一喜一憂せず、もっとラクに生きられるようになりますよ。
1 この本を読むと得られること
- 人間関係の「なぜ?」がわかる 障害を持つ人々の、嘘や建前のないストレートなコミュニケーション。彼らとの触れ合いを通して、私たちが普段いかに気を遣い、疲れているかに気づかされます。本当に大切な人との関係を見直すきっかけになります。
- トラブルに動じない心の持ち方 入居者の予測不能な行動や、壮絶なカスタマーハラスメント……。著者が乗り越えてきた数々の修羅場体験は、まるでジェットコースターのよう。どんな困難も「これは自分の魂の修行なんだ」と捉えることで、動じない心を育むヒントが得られます。
- 「見返りを求めない」ラクな生き方 著者が実践する「カルマヨーガ」(見返りを求めずに行う「行動のヨガ」)の考え方が紹介されています。「誰かのために」と動くことが、巡り巡って自分自身の心を癒し、満たすことに繋がるという、新しい価値観に触れられます。
- 障害へのリアルな理解が深まる 知的障害や精神障害を持つ人々の日常や、彼らが抱える葛藤がリアルに描かれています。ニュースやドラマではわからない、「一人の人間」としての彼らの姿を知ることで、偏見がするすると溶けていくのを感じるでしょう。
2 こんな人におすすめ
- 人間関係に疲れ、SNSや職場での評価に一喜一憂してしまう人
- 福祉や介護の仕事に興味があるけど、現場のリアルが知りたい人
- つい他人と自分を比べて落ち込み、「何で私ばっかり…」と感じてしまう人
- 自分の人生に起こる嫌な出来事の意味を知りたいと思っている人
- スピリチュアルな考え方を、実生活に活かすヒントが欲しい人
3 もう少し詳しく解説
著者ってどんな人?
著者の中村すみれさんは、ヨガ講師であり、マンション経営もこなすパワフルな女性。彼女が障害者支援の道に進んだのは、精神障害を持つ父親がいたという原体験と、近所の障害を持つ女の子の「一人暮らしがしたい」という夢に心を動かされたのがきっかけでした。
お金も知識も経験もゼロの状態から、銀行を何十件も回り、数々の困難を乗り越えてグループホーム「てんとう虫」を立ち上げた、まさに「有言実行」の人です。
本のどこが面白いの?
この本の面白いところは、単なる福祉の現場レポートではない点です。
- 壮絶な「真逆の経験」 グループホームを開設する前、著者は「シェアハウスの管理人」を経験します。そこで待っていたのは、住民からの終わらないクレームや、住民同士の陰湿な対立でした。この地獄のような体験と、その後に始まった障害者との「助け合いの世界」が対比的に描かれており、人間の本質について深く考えさせられます。
- きれいごとだけじゃない「リアル」 薬の大量服薬(オーバードーズ)や、自殺未遂、スタッフとの対立など、目を背けたくなるような生々しい現実が赤裸々に綴られています。しかし、そうした極限状況だからこそ見えてくる「魂の触れ合い」や「無償の愛」に、胸が熱くなります。
- ヨガとスピリチュアルの視点 著者は、目の前で起こるすべての出来事を「魂の修行」と捉えます。この「宇宙の法則」に基づいた視点があるから、どんなトラブルが起きても冷静でいられるのです。この考え方は、私たちの日常の悩みにも応用できる、普遍的な知恵に満ちています。
本書のタイトル「魂を癒す」とは、障害者だけが癒されるという意味ではありません。支援する側も、入居者との関わりを通して自分自身の弱さや課題に向き合い、共に魂を成長させていく──。この本は、そんな相互作用の尊さを教えてくれる、心のお守りのような一冊です。